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「怒り」 吉田修一

「怒り」 吉田修一_d0289980_21123249.jpg


感想を書く前に、ちょっと、この写真の言い訳を!!
数日前に「怒り(上)」を買いまして、今朝(日曜日の朝)読み終わりました。
我が家の最寄駅近くには、本屋さんが無くて「早く(下)を買いたーい!!気になる〜」と言って騒いでいたら夫が、「図書館にあったりして。その方が早く読めるよ」というので、検索かけたら、ハードカバーなら予約数ゼロ!本屋に行くより、早いでっせー、ということで、すぐに借りに行って、なんと、1日で読めてしまった・・・ので、「下」は、買わなかった・・・(汗)

何を言いたいかというと、「恐るべし、吉田修一の文章力。読ませる!引き込まれる!!」

感想は、以下ね。




「怒り」というタイトルですが、裏テーマは「信」だと思った。

周りにいる人を信じられるか? 信用しているのか?

ある犯罪者が逃亡したまま指名手配になっている。
怪しいと思われる「東京」「千葉」「沖縄」に出没した3人の男。
どの人が犯人なのか?いずれも犯人ではないのか?

でも、これは、その犯人を探して、良かった、良かった・・・という単純な話ではない。

「信じる」「信用する」というのは、口で言うほど簡単な話ではない。
大人だからこそ、皆、信じると、疑うを交互に行き交うものなのだ。

ところが、高校生の子はそうはいかなかった。疑うということを知らない。

信じたら、とことん、信じてしまう。
信頼してまっすぐに突き進んで、最後にこういう結末を迎えるに至ったのだなぁ・・・と思ったら、
大人になって、世の中を慎重に歩く術を自然に身につけていくことが、
悲しいことではあるけれども、致し方ないことなのかなぁと思ったり。
決して綺麗事だけでは生きていけないのね・・・と思ってみたり。

いやいや。 信じることができなかったのは「大人」は大人でも、後ろめたさを抱えて生きている人たちばかりだった・・・。それは、自分を信じられるか?信じられないのか?ということでもあったりする。
自分を信用できなかった人たちにとって、この事件は、他人事ではなく確実に、彼らの体の中を通過した事件だった・・・・という「3つの話の繋がり」が、吉田さん、すごい!って思いました。

信じることは美しい・・・みたいな綺麗、綺麗した話よりも、より、現代社会を反映しているような気がしました。きゃー、なんか、書くと怖い(?!)

最後に、お裁縫ブログとして・・・。
最後の最後のシーンで新宿の手芸屋さんが出てきます。私、そこはokadayaさんだと思いました(笑)
どうでもいい感想で失礼しました。

by chocotto-san | 2016-03-27 21:55 |
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