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「路」 吉田修一

吉田修一さんの「路」読みました。

台湾新幹線開通に尽力したビジネスをメインとした話、(言って見れば半沢直樹系)・・・かと思っていたら、全く違いました。
春香とエリックという現在(といっても新幹線開通の2007年頃まで)の若い二人を通してみる台湾と日本を横軸とするなら、
勝一郎と中野赳夫こと呂耀宗を通してみる、戦前、戦後の台湾と日本の関係を縦軸にして、物語が構成されているように感じました。戦後の台湾からの引き揚げ者のことは、わたしは、全く知らなかったのですが、引き上げ者の勝一郎がずっと、引きずっていた想い。そして、残された中野の想い。一見、個人的な想いとして描かれていますが、実は台湾が、日本をどう受け止めていたのか、どう思っているのか、この本の最後の章にある勝一郎と呂耀宗の会話に集約されているのかなと思いましたし、吉田さんが一番言いたかったことは、これなのかな、とも思いました。
作者の吉田さん、台湾をものすごく取材されたと思うのですが、単に、このテーマで書くから・・・というだけで取材されたのではなく、もともと、台湾がとてもお好きな方のように感じました。 春香(主役の一人)を通してみる台湾の町の姿、景色が、ここ数年で2回ほど訪れた台湾の風景をものすごくリアルに表現されており、一度行った人なら、あの景色に自分も行った気になって楽しめると思います。(それほどリアル)
ああ、また行きたくなった、台湾・・・。新幹線も乗っておいてよかった。 

by chocotto-san | 2017-09-24 16:28 |
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